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公式の情報をちょこっと見ました。
そんなことよりビリーは出るんですか!ビリーは!
そして相変わらずCDは聞いていません…すみません…。

そんなこととは全く関係ない話を書きました。



 *****

じゃあおやすみ。
それだけ言って電話を切った。きみのいない週末がはじめてだったので、なんとなく電話をしてしまった。さみいしのかい?と聞かれて、そんなんじゃないよ、と言ったけれど、僕のその答えは本音じゃなかったからもしかしたらきみは気付いているかもしれない。
音声のみの通話にして欲しいと言ったのも、僕のこの不安をきみが嗅ぎつけたりしたら面倒だな、と思ったからだ。
(面倒、って…)
きみの優しさをそんな風にしか受け取れないなんて、僕も随分性格が悪くなったものだ。
きみと同居を始めてから、はじめて一人になった週末の夜。本当は職場にそのまま泊まろうと思ったけれど同僚の反対にあって、帰ってくることになった。
誰もいない部屋に一人で帰るのは慣れているはずなのに、きみが帰ってこないと思うだけで心が折れそうになる。
帰ってこない。
そうだ。きみがもう二度とここに帰ってこないかもしれない、と思ってしまうのだ。そんな事はない、って。絶対にない、って。分かっているはずなのに。
食事を摂る気にもなれなくて、だけど寝室に入って寝る気にもなれなくて、テレビをつけてソファに座った。ニュース番組にチャンネルを合わせたままの部屋のテレビは、今日も各国であったいろいろな事件を取り上げている。
テレビの中の人の声が、単調な電波のように無機質なものに聞こえてきて、僕の耳はその音を受け止める事なく聞き流す。
こうして一人で部屋に居ると、思い出すんだ。
誰も帰ってこなくなった、あの部屋の事を。
(さみしい……)
彼女が去って、心の中に空洞ができて、だけどその時は憎しみの感情でその空洞を埋める事を自分で決めた。決して満たされていたわけじゃなかったけれど、さみしいなんて思う暇もなかったから、一人でいる事が怖いとは思わなかった。
けれどきみと暮らし始めて一人になる事の意味をはじめて知った。
もしかしたら帰ってこないかもしれない。もう二度と、隣を歩くことができなくなるのかもしれない。そんな不安感に襲われて、僕は泣いていた。
声をあげることもしないで、ただ両目から涙が出てくる。
(グラハム……)
必ず帰ってきて、と彼の背中を見るたびに願っていた事を今頃になって思い出す。
誰かにこんなに傍に居て欲しいと思ったのははじめてかもしれない。
誰かを失う事を知って、僕の心は本当に弱くなった。きみは守るものがあれば強くなれると言える人だけど。僕は違うみたいだ。
さっきまできみと通話をしていた携帯端末を見ると、いつの間にか誰かの送ったデータを受信している。受信を知らせるライトが光っているので開いて見ると、きみの写真が表示された。
寝る前なのか、パジャマの襟もとだけが見えてるきみの笑顔の写真。
(そうか…全部ばれているって事か…)
きみがいなくて不安に襲われている僕の気持ちを、きみは全部お見通しって事だ。僕はそれに返事はしなかったけれど、携帯端末を胸に抱いてベッドに入った。
返事をしなくても、きみならきっとわかっているはずだ。僕のこの、弱い心がきみによって支えられている事を。
きみが傍に居ないと、僕がどんなに不安かって事を。










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相変わらず忙しいですが、ちょこちょこ更新していけたらいいな!と思っています。
いつも拍手をありがとうございます。
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