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15日ですが(その15日ももうすぐ終わりですが…)バレンタインデーです。



 *****

バレンタインデーだからチョコレートが欲しい。
そう、私の前では言わなかったきみが職場でそれを強請っている場面に遭遇した時は驚いて足を止めてしまった。
職場に居る時は自分の部屋から滅多に出てこないきみが、人の多い休憩室に居るものだからみんなが珍しがって構っている。周囲ににこにこしながらチョコレートが欲しい、と恥ずかしげもなく口に出すきみを、軍の軍人も職員もみんながにこにこほほえましいものを見ているような顔で見ている。
「グラハムよりも、たくさん欲しいんです」
にこり、と笑って、だけど真剣な顔をして言っていた。まるで学生か、それ以前の子供のような事を言うきみの事をみんなが面白がっている。ただ一人きみは真剣だったけれど、どうしてそんなにチョコレートにこだわるんだろうか。
あとできみが一人になったのを見計らって、話しかけてみた。きみは私の顔を見ると一瞬険しい顔をして、それから持っていた隠し玉を見せるようにして大きな箱を目の前に出した。
「チョコレートケーキだよ。貰ったんだ」
すごいだろう?と首をかしげて、誇らしげに言うきみ。最早誰に貰ったとか、その意味はとか、そんなものには興味がないようだった。
こんなに大きなケーキをどこから貰ってきたのかはわからないが、渡した人間が気の毒になった。
「グラハムは、チョコレート貰った?」
バレンタインデーにチョコレートを渡す習慣についてきみがどうしてそこまで真剣になるのか。私を目の敵にするのか、今一つ理解できなかったけれど、とにかく今のきみにはその事が最重要任務であるらしい。
私が手に持っていた小さなチョコレートの袋を見て、きらりと目を光らせた。
「…絶対に、きみに負けたくない…」
ぼそり、と呟いて、貰ったか貰っていないかの返事を聞く前に私に背中を見せて自分の職場へ帰ってしまった。勿論チョコレートケーキの箱を両手でかかえたままで。
(ああ、行ってしまった…)
手に持ったチョコレートの袋を見る。実はこれは貰ったものではなく、誰でもないビリー・カタギリに進呈しようと思って買ってきたものだったのだけれど。きみにその事を報告する前に一方的に宣戦布告をされて立ち去られてしまった。
さて、バレンタインデーのチョコレートの数、と言うのは14日中に渡した者だけがカウントされる制度なのかな。きみに聞かないとわからない。
だけど今日はもう口をきいてくれそうにない。どうして私と張り合いたいのか、その理由も見当がつかない。
(そのうち、聞こう)
きみのチョコレート熱が冷める頃に、聞こうと思う。チョコレートも、その時渡せばいいだろう。

 

後日、耳に挟んだ事だけれど。
ビリー・カタギリ技術顧問は、自身の伯父であるホーマー・カタギリ氏が貰ったチョコレートにまで文句をつけて、へそを曲げていたそうだ。
目の敵にされていたのが自分だけではない、世間の男性全員だとわかったところで、私は漸く彼にチョコレートを渡す事ができた。
チョコレートもらったきみはやっぱり少し不機嫌な顔をしていたけれど。









>>>
なぜか14日にビリーのbotがチョコレート欲しい!欲しい!グラハムより欲しい!
って駄々をこねていたのでこいつ…と思って書きました。
なんかもう哀れ過ぎて(笑)チョコレートケーキをあげるよ!と話しかけてしまいました。喜んでいた。あいつbotのくせに可愛すぎ(笑)

ちょっと忙しいので更新滞っておりますがたまに…息抜きに来ます。

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