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なんかこうゆうのは前にも書いた気がする…
いつも拍手ありがとうございます!



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休日は朝から買い物に出かける。お互いに仕事をしているので、一週間分の食材を買いに行く。たまに仕事帰りに買いに行く事もあるけれど、必要品もあるので一週間に一度の休みに二人で買いものに行くのが恒例行事になっている。
スーパーで買い物をして、両腕に荷物を抱える。僕の方が長身なのに、持っている荷物はきみの半分。重量はきっとそれよりも軽い。重いものを持って、それでいてすたすたと速足で歩くきみは本当にたくましい。
「グラハム、待ってよ」
先に立って歩くきみに向かって呼びかけると、きみはそこで立ち止まって、やっと僕を待ってくれる。前しか見えていないきみの性格は好きだけれど、たまには振り返って僕の方を気にして欲しい。
(本当は、隣に並んで歩きたいけど)
それでも、きみが少しペースを落としてくれないと並んで歩いたりはできない。こちらが頼み込んでやっと一緒に歩ける。
「ビリーは少し、運動不足じゃないか」
少し、どころかとても運動不足だ。毎日訓練をしているときみとは違うんだよ。文句を言いたいところだけど、きみの言い分は決して間違えてはいないので文句も言えない。正論を返されてへこむのは目に見ているので(そしてへこんだ事をきみは自分の所為だとは思わないのだ)、何も言わずにきみの歩調に合わせるようにした。
「ビリー、置いていくぞ」
「待ってよ、グラハム」
毎週、同じ事をしている。
先に立って歩くきみ。
後ろから追いかける僕。
待ってよ、と何度か言うと、きみはやっと立ち止まってくれる。立ち止まった後に、こちらを振り返って手を差し出してくれる。荷物を両手に持っていたはずなのに、両手に分けた荷物はいつの間にか片方の手に。僕が持っているよりも重い荷物だったはずなのに、軽々とそれを持っている。
「ビリー、」
差し出した手を見せて、名前を呼ぶ。僕は少し照れながら自分の手を伸ばす。
きみの、温かい手に触れて僕は照れながらも笑ってしまう。きみの優しさが、このてのひらに溢れているようで、笑ってしまう。
胸の奥をくすぐるようなこの気持を、なんて言えばいいんだろう。
(……グラハム、)
幸せだ、と心の中で呟こうとして、やめた。そんなありふれた言葉できみへの気持ちを型にはめたくない。そんなどこにでもある言葉で、きみとの関係を現わしたくない。そんな、気持が胸からどんどんあふれてきて、ざわざわした気持ちが僕の顔をゆるくさせる。
ぎゅっと握った手は、指を絡めて離れないように繋がれる。
きみは、絶対に手を離さない。
僕も、できるだけ手を離さないように、きみに置いていかれないように、足を速めてきみについていく。
毎週、毎週、これからずっと、こんな日が続けばいい。
きみはぼくの手を離さない。
僕は、きみと並んで歩く努力をする。









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でっかい黒い犬を飼えばいい!
え、なにそれかわいい…。
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