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なんかパラレルワールド的な話を書きたいんだけど(じゅうぶんパラレルワールドだけど…)ひとつ設定を作ったらもったいないので長い話にしたい…。
そんなことを考えていたら結局短い話をコマギレに書いていくことしかできないなあ…と実感しました。
そのうち長いお話を書きたいです。




 *****


今でも時々思い出す。
おじさんの家できみと過ごして、そして別れた最後の日の事を。
ぼろぼろに傷ついたきみは暫くおじさんの家に居た。僕は当然のようにきみの傍できみを助けていたけれど、そんな僕がきみを傷つけているんじゃないかとずっと思っていた。
「それは、こちらのセリフだ」
きみにその話をすると、困ったような顔をしてそう言われた。
きみは何も悪くないのに。どうしてきみが僕を傷つけているなんて思うの?聞いたけれど、きみはやっぱり困った顔のままで、小さく笑うだけだった。

あの日の事を思い出すと、今でも胸が痛む。チリチリとする、いつまでも消えない浅い火傷の傷のような痛み。
おじさんの家を出て、また軍に戻ると言ったきみを僕は心配していた。心の底から心配していたので、それは顔にも態度にも出ていたのかもしれない。
きみは困った顔をして僕を見ていた。
「心配するな」
そう言うきみの顔の、あの酷い傷を見て僕の胸は痛んだ。そうだ。その傷は僕に責任がある。僕がカスタマイズしたモビルスーツに乗って、そしてきみが負ってきた傷だ。
きみの綺麗な顔が好きだった。きみの、自信にあふれる笑顔が好きだった。
なのに僕はもう、きみの困った顔しか見る事ができない。それは全部、自分が悪い。
目のあたりがじわりと熱くなったので、涙を見せるわけにはいかなくて、視線を外した。
それからきみの顔を正面からは、見れていない。
「ビリー、またいつか会おう。きみの思う時に呼び出してくれればいい」
そっぽを向いてしまった僕の肩に優しく手を置いて、耳元で優しく囁いてくれた。柔らかいけれど強制力のあるきみのたのもしい声。
(またいつか…)
きみは、その言葉に願いを託したのか、サヨナラとは一言も云わなかった。
きみの思う時でいい。
別れの瞬間まで、きみはとても優しかった。横を向いたままでやっぱり堪える事ができなかた涙があふれて、顔を近付けたきみに知られてしまう。けれどその事にきみは何も触れずに、ただ溢れてきた涙の一粒を指の先でぬぐってくれた。
僕はきみの優しさにそこまで甘えていいのかな。僕はいつまで、きみにそうして優しくして貰えるのかな。
その時はそればかり考えて、まるで身体が動かなかった。
嫌われたくなかったんだ。
きみの顔に酷い傷を負わせた僕が、きみをひきとめていいわけがない、って思っていたんだ。

そんな僕に、きみが同じような負い目を抱いていたのだと、あれから数年後に聞いた。
きみと離れてからも、時々は連絡を取り合っていたけれど、顔を合わせたくなくて音声でのやりとりしかしていなかった。
顔を見たい、ときみは時々言ってくれたけど、僕はとてもそんな事できなかったので、いつもそれをはぐらかすように断り続けていた。
でも、あの時一度でもきみの映像を見ておけば良かった、と思ったんだ。とても、後になって。
僕はきみから、現実から、逃げちゃいけなかった。逃げてしまった結果、用意されていた「もしも」の世界の中で一番残酷な世界にたどりついてしまった。今でも、あの頃の事を思い出すとそう考えてしまう。
「難しい顔をしてる」
そんな事を考えていたら、グラハムが僕の顔を見て茶化すように声をかけてきた。
「……きみの事、考えてただけなんだけど」
笑って言うと、きみは拗ねたような顔をして視線を逸らした。
僕が傷ついた、と思った分だけきみも傷ついている。それが、どんな理由だとしても。
その事を理解するのにとてもとても時間がかかったけれど、だけどそう思ってやっときみの事を理解する事ができたんだ。
きみが僕の事をとても大事に思ってくれている。それがわかったから、きみに対して正直な気持ちになれたんだ。
(……好きだよ、)
背中を向けてしまったきみに、心の中でそう伝える。届かない想いでもいい。応えて欲しいなんて思っていない。だけどそう思わずに居られないんだ。
きみが、僕にとても優しいから。
(涙を拭ってくれた時も、優しかった)
きみの手も、指の先も、体温も、全部。










>>>
泣いているビリーを慰めるぐらはむ
と言う、よくわからないもえがあったので書いてみました。
本当によくわからない!(笑)

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