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ビリーが酔っぱらいだったらかわいいな!って思ったのです。
でもあの子、アル中の世話をしていたからアルコールには抵抗あるのかも…。



 *****
めずらしく、ビリーが大口を開けて笑っている。いつもよりもほんの少し大きな声を出して、頬を赤く染めて、
「だからぼくは、きみの方が好きだと言ったんだ」
と大きな声で言う。
そう、彼は今酔っぱらっている。それも盛大に。
休日前の夕食で、シャンパンを一本開けた。そのあと、まだ飲むと言うのでワインを一本開けた。勿論全部飲むつもりではなかったけれど、場所をダイニングテーブルからリビングのソファに移した後も、きみはずっとグラスを手に持って離さなかった。中の液体は時間の経過とともに少しずつ減っている。
「ビリー、飲みすぎじゃないのか」
最早ソファの上ではなく、フローリングに敷いたラグの上にそのまま座ってソファを背もたれにしてもたれかかっているビリーは、顔を赤くして身体の力も抜けている。
アルコールの所為だと分かっていても、赤くした頬に潤んだ瞳をむけられれば、誰だって手を伸ばしたくなるだろう。
手のひらで頬を触ると、きみはメガネの奥の瞼をそっと伏せた。いつもきみは私の事を「顔が綺麗」だと言うが、私はきみの象牙色の肌の方がよほど綺麗だと思うし、少し色見の抜けたブラウンの髪の毛も、睫毛も、綺麗だと思っている。その綺麗なまつ毛に縁取られた瞼をそっとおろして、私の手を受け入れているきみを見ていると、どうしても顔を近付けたくなる。
「……グラハム、」
名前を呼ぶ声も、艶っぽく聞こえるのは気のせいではないだろう。
きみは、私を誘っている。
そう、思わざるを得ない。
顔を近付けてその唇にそっと触れると、きみは少しくすぐったそうに顔を緩めて、手で私の顔を払いのけようとした。
「グラハム、やめてよ」
笑いを含んだ言い方は、もっとしてくれと言っているようなものだ。きみが座っているラグに一緒になって座って、左腕できみの腰を抱いた。
「……グラハム」
潤んだ目をこちらにむけてくる。ブラウンの瞳の奥の、もっと濃いところが私を見ている。今、その瞳の奥に自分の姿だけが写っているのを確信して、身震いがした。
きみを、ただ一人の人間を、私のものにできた。一人占めできた。征服感を、満足感で心の中が満たされる。こんな気持ちになるのはただひとり、きみだけだ。きみにだけ、こんな気持ちを感じるんだ。
「ビリー、」
名前を読んで、もう一度目を閉じてくれるように懇願する視線を送る。きみはすぐに目を閉じて、ほんの少し開いた口元で私を誘う。
ただ、きみはこの一瞬だけ素直になる。
普段はこんな事はさせてくれないのだ。君のメガネの奥の目は、どこを見るともなしに乾いた視線を送る。まるで私ではない遠くの人を想っているような視線をしている。だから私は、どうしてもきみに言えないのだ。酔っているきみにしか言えないのだ。
「好きだ…」
言葉を溶かすようにキスをすると、きみはまたくすぐったそうに微笑んだ。にこりと笑って私を受け入れて、返事はしてくれなくてもきみの気持ちを推し量る事ができる。
今は、それだけでいい。
ただ、許してくれればいい。
いまはそれだけでいい。
そのうちきっと、きみのなかで過去の事は過去の事だと割り切れる日が来るだろう。それまで私は待っている事にする。きみのその気持が、本当の気持ちなのだ、とアルコールの力を借りなくても語ってくれる日まで。
私たちにはまだ未来があるのだから。
それくらいは、平気だ。










>>>
グラハムは紳士なので、キスしかしないですよ…。
うそです。
エロを書きたいんだけど気力がなくて書けないだけです。
でもまあ、…エロなんか求めてないよね!まゆが読みたいだけで…!(笑)
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