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ビリーがグラハムの事を好き、ってことは他人の眼から見れば明らかだ!と声を大にして言いたい。



 *****

レコーダーの再生スイッチをかちり、と押す。聞こえてくるのは相手が話をする前の深呼吸する静かな空気。

 

フラッグの開発について、聞かせていただけますか?

「開発について…。開発自体はリアルドの後継機として開始されたものでしたが、実際組み立てが始まると後継機、と言うより全く違うものになりましたね。出力も、メインのデザインも全く違います。明らかにフラッグの方が上を行く完成度を誇っている。それは他国で開発されているモビルスーツと比べても、と自負はあります。
開発に際しての苦労としては、換装に関することですね。リアルドよりも換装作業を簡潔にする事によって飛行形体からの変形がより早くなりました。…まあ、もっとも、その弊害として空中換装なんてするパイロットが出てきてこちらも冷や汗ものでしたが」

空中換装は予期していなかった、と言うことですか?

「そうですね、もともとそんな事は想定していない作りのものです。移動をして即戦闘、なんて事態は予期していなかった。開発としてのんびり構えている、と言われてしまえばそれまでですが、換装をする際に人体にかかる負荷を思えば、それを避けるのは人間として当然の行為でしょう?パイロットの負荷をかけない設計をするのも、技術部としての配慮なんですから。…それを彼は…」

技術部の意見として、現在のパイロットの水準はいかがですか?

「申し分ないと思いますよ。テストパイロットをしてくれているメンバーだけ見ても、ユニオンの軍隊の飛行技術は群を抜いている。フラッグの開発時に出力をぎりぎりまでアップできたのは、パイロットの技術ありき、ですからね。こちらもやりがいを感じます。
時々、訓練を見学に行くことがあるのですが、実にははつらつとしていて気持ち良くなります。冗談を言ったり、時にこちらがからかわれたりなんて事もありますが、それが彼らのチームワークなんですよね。早くフラッグを量産ラインに乗せて、みんなに乗ってもらいたいです」

 

 

そこまで聞いて、レコーダーの停止スイッチを押した。
ユニオンの広報では、今回最新機であるフラッグの特集を組んで、軍の一般公開時に配布する予定がある。技術部のトップであるビリー・カタギリのインタビュー記事に、フラッグの資料写真を載せて冊子を作る。それが広報の仕事だった。
これまでのインタビューをそのまま文書に起こして、作業は完了する。あとは、紙面のレイアウトをする担当に記事を回せばいいだけだ。
実は、このインタビューの録音には続きがある。

 

 


先ほど話に出ていた彼、の事ですが。

「ああ、グラハム・エーカーのこと。彼は本当に無茶苦茶だよね。人の話なんてちっとも聞かない。こっちがパイロットの身体の事を考えてもお構いなし。自分には負担なんてない、って言うんだよ。開発をしている人間の事なんて考えたこともないんだろうね。
…でも、彼の飛行技術は認めているよ。今回フラッグが開発できたのも、彼がいたからだ。彼が、リアルドじゃ満足できない、と言うからこっちもむきになっちゃってね」

随分、仲が良いんですね。

「もう、7年の付き合いになるからね…。僕は自分の事を変わり者だと思っていたけれど、グラハムの方がよほど変わっているよ。思いつきで飛び出す子供みたいなところがあると思えば、思慮深く考え込むときもある。意見をするときは的を得ている事を言うしね。彼には、驚かされることばかりだ。
…だけど、彼は誰よりもひとの命の事を大事に思っているところがある。僕なんかは人を見ないで機械ばかり相手にしている所為で、生身の人間に対して配慮の欠けるところがあるんだけど、彼はそうじゃない。…人の命の重さを知っている彼だからこそ、フラッグに乗るに値する人物だと僕は思うよ。命を奪うためじゃない。守るために彼は戦っているんだと、僕は知っているから」

 

 

その話をしている時のカタギリの表情をふと思い出して、レコーダーを止める。遠くを見て、まるで憧れの人物について語っているような視線。指摘しようとして躊躇した瞬間の事を、思いだした。
ふと突然気付いたようにインタビュアーを見て、照れたようにはにかんだ頬笑みを見せた。
「なんか、語っちゃったね」
照れた顔をして頬を赤くするカタビリの表情は、夢や仕事について語っている顔ではなかった。それはまるで、恋をしているような表情。
だから、指摘できなかった。
その時の話を文書として書き起こすことも止めておいた。
当人は無自覚かもしれないその感情について、外野の意見として発言をすることは自由だったけれど、なんとなく、あの二人はずっとああ言う関係だったのだろう、と納得した。
そうでなければ、あんな風に相手の事を平気で他人に語ったりはできないだろう。
まとめた文書を保存して、文書作成に使っていたパソコンの電源を落とした。レコーダーに入っている録音については、暫く処分を保留した。
特別な意味はない。
ただの、個人的な趣味だ。





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こう言う事を考えると、自分の性格がネチネチしているなー、と思う。反省する。
でも好きだ。
フラッグの事について何か間違えているかもしれないので、とりあえずログ保管は保留!

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