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さっき見たスーパーナチュラルがそんな話だったので書いてみました。
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目が覚めると、キッチンから卵の焼けるいいにおいがする。ベッドから起き上がってベッドのサイドテーブルに置いてある眼鏡をかけた。まぬけなパジャマ姿のまま寝室から出ると、朝日で眩しいキッチンに、きみの姿があった。
昔流行ったカウンターキッチンの向こうで、グラハム・エーカーが卵を焼いている。トーストの焼ける匂いとコーヒーの香り。さっきまではんぶん寝ぼけていた頭の芯に全てが吸い込まれて、意識がはっきりとする。
「おはよう、グラハム」
「ああ、おはよう。ビリー」
きみは朝日に髪の毛をきらきらさせながら、こちらに振り返る。普段と同じように微笑んでいるけれど、独り占めした笑顔は特別だ。
「今日は何を作ってくれたんだい」
「ベーコンエッグとトーストだよ。コーヒーを入れてくれないか」
「わかった」
良く見るとグラハムは僕みたいにまぬけなパjま姿じゃない。もうすでに着替えていて、カッターシャツにスラックスをはいている。その姿をじっと見ていた僕に、ベーコンエッグの乗った皿を突き出してグラハムが笑った。
「ビリーも、早く着替えないと遅刻するぞ」
「そうだね。でも食べてからにするよ」
せっかく卵を焼いてくれたのに、冷めてしまうと勿体ないから。そう言う僕の怠惰な態度にグラハムは呆れながらも、文句は言わなかった。
グラハムとは同じところで仕事をしている。だから朝出る時間は一緒だ。けれど彼は朝型の性格で、僕はあいにく夜型。どちらかが無理をしなければ爽やかに二人並んでの出勤なんてできないけれど、もっぱらその努力をするのは僕の方だ。けれど彼も、早起きをして朝食をつくる、と言う役目を買って出てくれるので、僕はその気持ちに甘えつつ毎朝ぼんやりとベッドを抜け出す。
真っ白のテーブルにランチマットを敷いて、作ってくれたばかりの朝食を並べる。お揃いのマグカップに入れたコーヒーを持ち上げて、きみと目を合わせて微笑んだ。
「今日、迎えに行ってくる」
「ああ、今日だったね。僕が行こうか?」
「いいや。ビリーは忙しいだろう?私が帰りに寄ってくる」
前の休みに、以前から飼いたいと話をしていた犬を見に行った。大型犬を育てているブリーダーのところに二人で出かけて、賢そうな子犬をもらう事を決めたのだ。それを彼が今日、迎えに行ってくれると言う。僕も忙しいけれど、彼だって決して暇なわけじゃない。
ちらりと様子をうかがう視線を送ると、グラハムは涼しい顔をしてトーストにかじりついている。
「グラハム、明日はフレンチトーストが食べたいよ」
子供みたいにねだってみると、きみは困ったような笑顔になる。きみが、フレンチトーストなんて軟弱な物をきらいなのは良く分かっている。だけど、意地悪をしたくて言ったんだ。
「考えておく」
短い返事をして、食事に戻った。
尚も彼の顔をじっと見ていると、どうしたんだ、と言う顔をしてグラハムが視線を上げる。僕が黙ったままでいると、ふいに小さく声をたてて笑った。
「そんなに、フレンチトーストが食べたいのか」
口元を小さく押さえて笑うしぐさが、とても好きだ。
「うん。そうだよ」
返事をしながら彼の口元に手を伸ばすと、彼はそれを振り払いもせずに、受け入れてくれた。口元についたパン屑を取って、自分の口の中に入れる。
きみの柔らかい頬笑みが、朝の光の中で余りにもまぶしく映る。なんて、綺麗な光景。
毎朝こうしてふたりで食事をして、週末は仕事の帰りに映画を見て、休みの日は犬を連れて近所の公園に散歩に行こう。
犬の名前は何がいいかな。
髪の毛をくくって、ネクタイを締めて、上着に袖を通していると、すっかり準備の終えたきみが玄関で僕の名前を呼ぶ。ドアの前で僕をせかして、靴を選ぶ隙も与えない。
そんなに急がなくても、充分に間に合うよ、と言っても聞いてくれない。自分の時間通りに事が運ばないと気に入らない、と言う顔をするんだから。
苦笑して彼の後姿を追いかけると、グラハムはドアノブを掴んで振り返る。僕を見上げてにやりと笑ったので、僕は笑いながら目を閉じた。
行ってきます、のキスを黙って交してきみがドアを開く。足を一歩踏み出す。
真っ白な、世界へ。
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ふたりが一緒に暮らしていたら生活の主導権を握るのは絶対にグラハムだろうな~と思います(笑)
ガンダムの事はいつも緊迫してぎりぎりのシュチエーションばかり考えるので時々こんなのんびりとした事を考えたくなります。
昔流行ったカウンターキッチンの向こうで、グラハム・エーカーが卵を焼いている。トーストの焼ける匂いとコーヒーの香り。さっきまではんぶん寝ぼけていた頭の芯に全てが吸い込まれて、意識がはっきりとする。
「おはよう、グラハム」
「ああ、おはよう。ビリー」
きみは朝日に髪の毛をきらきらさせながら、こちらに振り返る。普段と同じように微笑んでいるけれど、独り占めした笑顔は特別だ。
「今日は何を作ってくれたんだい」
「ベーコンエッグとトーストだよ。コーヒーを入れてくれないか」
「わかった」
良く見るとグラハムは僕みたいにまぬけなパjま姿じゃない。もうすでに着替えていて、カッターシャツにスラックスをはいている。その姿をじっと見ていた僕に、ベーコンエッグの乗った皿を突き出してグラハムが笑った。
「ビリーも、早く着替えないと遅刻するぞ」
「そうだね。でも食べてからにするよ」
せっかく卵を焼いてくれたのに、冷めてしまうと勿体ないから。そう言う僕の怠惰な態度にグラハムは呆れながらも、文句は言わなかった。
グラハムとは同じところで仕事をしている。だから朝出る時間は一緒だ。けれど彼は朝型の性格で、僕はあいにく夜型。どちらかが無理をしなければ爽やかに二人並んでの出勤なんてできないけれど、もっぱらその努力をするのは僕の方だ。けれど彼も、早起きをして朝食をつくる、と言う役目を買って出てくれるので、僕はその気持ちに甘えつつ毎朝ぼんやりとベッドを抜け出す。
真っ白のテーブルにランチマットを敷いて、作ってくれたばかりの朝食を並べる。お揃いのマグカップに入れたコーヒーを持ち上げて、きみと目を合わせて微笑んだ。
「今日、迎えに行ってくる」
「ああ、今日だったね。僕が行こうか?」
「いいや。ビリーは忙しいだろう?私が帰りに寄ってくる」
前の休みに、以前から飼いたいと話をしていた犬を見に行った。大型犬を育てているブリーダーのところに二人で出かけて、賢そうな子犬をもらう事を決めたのだ。それを彼が今日、迎えに行ってくれると言う。僕も忙しいけれど、彼だって決して暇なわけじゃない。
ちらりと様子をうかがう視線を送ると、グラハムは涼しい顔をしてトーストにかじりついている。
「グラハム、明日はフレンチトーストが食べたいよ」
子供みたいにねだってみると、きみは困ったような笑顔になる。きみが、フレンチトーストなんて軟弱な物をきらいなのは良く分かっている。だけど、意地悪をしたくて言ったんだ。
「考えておく」
短い返事をして、食事に戻った。
尚も彼の顔をじっと見ていると、どうしたんだ、と言う顔をしてグラハムが視線を上げる。僕が黙ったままでいると、ふいに小さく声をたてて笑った。
「そんなに、フレンチトーストが食べたいのか」
口元を小さく押さえて笑うしぐさが、とても好きだ。
「うん。そうだよ」
返事をしながら彼の口元に手を伸ばすと、彼はそれを振り払いもせずに、受け入れてくれた。口元についたパン屑を取って、自分の口の中に入れる。
きみの柔らかい頬笑みが、朝の光の中で余りにもまぶしく映る。なんて、綺麗な光景。
毎朝こうしてふたりで食事をして、週末は仕事の帰りに映画を見て、休みの日は犬を連れて近所の公園に散歩に行こう。
犬の名前は何がいいかな。
髪の毛をくくって、ネクタイを締めて、上着に袖を通していると、すっかり準備の終えたきみが玄関で僕の名前を呼ぶ。ドアの前で僕をせかして、靴を選ぶ隙も与えない。
そんなに急がなくても、充分に間に合うよ、と言っても聞いてくれない。自分の時間通りに事が運ばないと気に入らない、と言う顔をするんだから。
苦笑して彼の後姿を追いかけると、グラハムはドアノブを掴んで振り返る。僕を見上げてにやりと笑ったので、僕は笑いながら目を閉じた。
行ってきます、のキスを黙って交してきみがドアを開く。足を一歩踏み出す。
真っ白な、世界へ。
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ふたりが一緒に暮らしていたら生活の主導権を握るのは絶対にグラハムだろうな~と思います(笑)
ガンダムの事はいつも緊迫してぎりぎりのシュチエーションばかり考えるので時々こんなのんびりとした事を考えたくなります。
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