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…テキストの更新に回す予定なので、時間のある時にサルベージします。



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かちかち、かちかち、頭の奥で音がする。
キイボードを弾いている音なのか、それともボールペンをノックしている音なのか。
考えて考えて、こんな事をしている場合じゃないと思って焦る。頭のてっぺんから血の気の引く思いがして、そこでぱっと視界が平得た。
「……、」
あ、と一瞬だけ声を出して、現実に引き戻された。ただし、眼の前に見なれないものがあったので意識はまだ夢の中だ。
「……グラハム…?」
視界に入った金髪に、それくらいしか思い当たることのない名前を呼ぶと、いつも見ることのない角度できみの顔が見えた。
下から覗きこむような恰好できみの顔を見て、慌てて身体を起こす。
「グラハム、」
「いいから寝ていろ」
起き上がり際にもう一度名前を呼ぶと、君の手なのか、遠慮のないちからで額を押さえこまれた。勢いで、眼鏡がずれる。
「…僕は、寝ていたのかな…?」
押し戻されたのはどうやらグラハムの膝の上で、少しも柔らかくない膝枕の感触を味わいながら苦笑する。僕の顔を上から覗きこむグラハムが、そうだ、と頷く。どうやら連日の過密スケジュールの所為で、その辺の廊下で倒れてしまったらしい。そのまま医務室にでも運んでくれればベッドで寝ることができたのに、生憎廊下でぐーぐー寝ている僕を見つけたのがグラハムだったので、こうしてソファとは言えないクッションの効かない長椅子と、たいしてやわらかくもない男の膝枕で寝るはめになってしまったのだ。
「グラハム…きみも忙しいだろう?僕はもう大丈夫だから起きるよ」
身体を起こさずにそう言うと、グラハムが黙れと言いたそうな態度で、僕の眼鏡の上に自分の手のひらを乗せた。身体に似合わない分厚いグラハムの手のひらが、僕の視界を完全に遮る。目の前が暗くなったので仕方なく瞼を閉じた。
「あと30分は寝れる」
真っ暗な世界の中で、グラハムの優しい声が響く。そうか、30分か。それなら十分だ。
仰向けに寝ていた姿勢を動かして、グラハムの腹の方に頭を向けた。視界を遮っていた手が顔の上から退いて、頭の上に乗る。甘えた子供みたいな姿勢になった僕は、グラハムが文句でも言うのではないかとどきどきしたけれど、彼は一言も文句を言わなかった。
ただ、頭の上に乗っている彼の手が僕の髪の毛をなで続ける。それはまるで飼い猫を可愛がっている飼い主のような手つきで。
「……しかし、きみの膝は堅いなあ」
30分は、と言われたものの、そのまま素直に寝ることなんてできずに、僕はぼんやりとしたまま、まだ現実の中に居た。
「なんだ、文句があるのか」
頭をなでている手はそのままで、グラハムの不機嫌な声が聞こえた。なんだ、こんなせりふに機嫌を悪くするのかきみは。なんだかおかしくなって、くすくすと声を殺して笑ってしまった。
「なんだ、女性の膝がいいのか?わがままなやつだな、きみは」
身体を震わせている僕に、グラハムのむっとした声がふってくる。そんな事までは言っていないのに、勝手にわがままにされてしまった。
きみの膝は堅い。けれど、それは鍛えているからだろう?自慢をしてもいいくらいの努力をしているのに、僕の一言でそんなに拗ねることはないじゃないか。
おかしくてたまらなくなって、ついに姿勢を変えて上を向いてしまう。そこには、笑っている僕の顔を見てむっとしているグラハムの顔があった。
「ごめんね、せっかく膝枕をしてもらったのに文句ばかりで」
謝っているのに、顔が笑っているのが気に食わないんだろう。きみはむすっと口元を真一文字に結んで僕の顔を覗き込んだ。
優しくて、まっすぐで、そんなきみが好きだよ、と声に出して言えればどんなに楽だっただろうか。きみも、僕も。
僕はただ照れ隠しに笑うだけで、きみは拗ねるだけ。
きみと一緒にいるだけで、浮かれているようなふわふわした気持ちのままで30分。結局満足に寝ることのできないまま、僕を探しにきた技術開発部の人間にこの素敵な時間をぶち壊された。
それでもいいんだ。
きみと過ごしたほんの少しの時間が、僕の心の中に残るのなら。





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再放送を見ているのでグラハムカスタムフラッグを作ったあたりです、と言う説明を加えてテキストの更新をするつもりでいたのですが、今ちょっとファイル転送ソフトがエラーを起こしているのでとりあえずこっちにアップしておきます。
もういっそブログサイトにしたい…。
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