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ちょっと短いのでこっちに。
これ、そのうちログとしてまとめてテキストに移動の予定。
別にトランザムしているわけじゃないんだからね!(ツンデレ)
これ、そのうちログとしてまとめてテキストに移動の予定。
別にトランザムしているわけじゃないんだからね!(ツンデレ)
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訓練飛行から帰ってきたグラハムを迎えに出る。外まで迎えに行くことは珍しいので、フラッグから降りてきたグラハムは驚いた顔をしている。
「どうしたんだ」
ヘルメットを取ったきみの顔が驚いていたので、思わず僕は笑ってしまう。どうしたんだ、だって。システムエラーでも起こしたのか、と言う顔をしているのは彼が仕事に忠実な証拠だろう。彼のそんな妙に真面目なところが好きだ。
「何も悪いところはないよ。記念撮影をしようと思っただけ」
後ろからついてきた広報の人たちを小さく振り返って言うと、グラハムはそうか、と頷いた。
「広報誌に載せるんだって。きみと、僕の写真を」
パイロットスーツに身を包んだきみの隣にまで走って行くと、くみはメットを小脇に抱えて広報の方に視線を向けた。
「このままでいいのか?」
「このままがいいんだよ」
フラッグの前で二人で写真を撮るんだ。こうして、並んで。
グラハムの手を取って、真っ直ぐに立つように促す。カメラを構えた広報に、視線を向けるように肘でつつくと、グラハムは急に愛想笑いをして背中を真っ直ぐに伸ばした。
「カタギリ、」
きみの背中は、曲がっている。正面から見えない角度で背中に手をのばされて、背骨の出ているところをぽん、と叩かれた。
カメラのシャッターが何度か切られたあとに、カメラ付きの携帯端末を取り出した。
「あれは?」
正面を見たまま、グラハムが訪ねてくる。広報誌に載せる写真はまさか携帯端末で撮ったりしない。それくらい、グラハムは気付いている。
「あれは…、僕の」
いいですかー、と声をかけられたので、僕も正面に視線を戻す。さっきよりもできるだけ笑顔を作るように努めた。隣に立っているグラハムも、そうだったらいいのに、と考えながら。
「どうするんだ、あれを」
「どうする、って」
写真を撮り終えた広報の人が、棒の携帯端末を持ってこちらに近付いてくる少しの間に、グラハムが聞いた。綺麗に撮れましたよ、と言いながら携帯端末を返してくれる。
画像フォルダを開くと、いつもの三割増し(自分比)で笑顔を作る僕と、白い歯を見せて笑っているグラハムが写っていた。
「凄く腕がいいよ、あの人」
「どうして、」
「きみがすごく、格好良く写っている」
出した画像をきみに見せながらそう言うと、隣でグラハムが苦笑した。
きみは気付いているかもしれない。それはいつも僕が思っていて、口にできない言葉で。こんな機会だから思い切って言ってしまった事に。だって、きみはこんなからかうような口調の僕にたいして怒ったりはしなかったから。その変わりに、その写真が欲しいと言った。
「私のところにも、送っておいてくれるか」
「わかった。あとで、送っておく」
そうしてきみは、僕がその携帯端末を白衣のポケットに仕舞うのをじっと見ていた。最後まで、見ていた。
「どうしたんだ」
ヘルメットを取ったきみの顔が驚いていたので、思わず僕は笑ってしまう。どうしたんだ、だって。システムエラーでも起こしたのか、と言う顔をしているのは彼が仕事に忠実な証拠だろう。彼のそんな妙に真面目なところが好きだ。
「何も悪いところはないよ。記念撮影をしようと思っただけ」
後ろからついてきた広報の人たちを小さく振り返って言うと、グラハムはそうか、と頷いた。
「広報誌に載せるんだって。きみと、僕の写真を」
パイロットスーツに身を包んだきみの隣にまで走って行くと、くみはメットを小脇に抱えて広報の方に視線を向けた。
「このままでいいのか?」
「このままがいいんだよ」
フラッグの前で二人で写真を撮るんだ。こうして、並んで。
グラハムの手を取って、真っ直ぐに立つように促す。カメラを構えた広報に、視線を向けるように肘でつつくと、グラハムは急に愛想笑いをして背中を真っ直ぐに伸ばした。
「カタギリ、」
きみの背中は、曲がっている。正面から見えない角度で背中に手をのばされて、背骨の出ているところをぽん、と叩かれた。
カメラのシャッターが何度か切られたあとに、カメラ付きの携帯端末を取り出した。
「あれは?」
正面を見たまま、グラハムが訪ねてくる。広報誌に載せる写真はまさか携帯端末で撮ったりしない。それくらい、グラハムは気付いている。
「あれは…、僕の」
いいですかー、と声をかけられたので、僕も正面に視線を戻す。さっきよりもできるだけ笑顔を作るように努めた。隣に立っているグラハムも、そうだったらいいのに、と考えながら。
「どうするんだ、あれを」
「どうする、って」
写真を撮り終えた広報の人が、棒の携帯端末を持ってこちらに近付いてくる少しの間に、グラハムが聞いた。綺麗に撮れましたよ、と言いながら携帯端末を返してくれる。
画像フォルダを開くと、いつもの三割増し(自分比)で笑顔を作る僕と、白い歯を見せて笑っているグラハムが写っていた。
「凄く腕がいいよ、あの人」
「どうして、」
「きみがすごく、格好良く写っている」
出した画像をきみに見せながらそう言うと、隣でグラハムが苦笑した。
きみは気付いているかもしれない。それはいつも僕が思っていて、口にできない言葉で。こんな機会だから思い切って言ってしまった事に。だって、きみはこんなからかうような口調の僕にたいして怒ったりはしなかったから。その変わりに、その写真が欲しいと言った。
「私のところにも、送っておいてくれるか」
「わかった。あとで、送っておく」
そうしてきみは、僕がその携帯端末を白衣のポケットに仕舞うのをじっと見ていた。最後まで、見ていた。
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