忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

テキストにファイルを作るまでもないネタを書き出していくことにしました。
いろいろともえすぎて収集つかん…!

いろいろ間違えているところはあとでこっそりさたさんに教えてもらって(笑)訂正したらテキストにまるっと移動させる予定ではあります。




 *****
時間にして約半日は飲酒を続けている彼女に、呆れてか蹴る言葉もない。ローテーブルに上半身を乗せてグラスを傾ける、のんだくれのおやじのような彼女の正面に座って、顔を覗き込んだ。うるんだ眼から、ゆらゆら焦点の合わない視線をこちらに向けてくる。
「あなたも、飲めばいいのに」
グラスをこちらに差し出して、酒瓶を傾ける。最近、彼女は起きている時間のほとんどをこんな風にしてすごしている。
「僕はきみのようにお酒が強くないんだ」
差し出されたグラスを片手で断ると、彼女はそう、と呟くように言って自分の方にグラスを引き寄せた。
強いアルコールのにおいが部屋に充満してる。まだお昼なのに、カーテンを引いた室内は暗い。彼女が、明るい部屋を嫌がるから、こんな薄暗い部屋の中で、じめじめとした地中の虫のような暮らしをしている。
(…もう、諦めたけど…)
彼女の中に、何か割り切れないものがあるのは分かっている。それくらいは、理解してあげているつもりだ。そんなくらいの感情は僕の中にだってある。
「あのひと…」
からん、とグラスの中の氷が傾いた音がした。その音と彼女の声が重なる。
あのひと、
誰の事だろう?振り返ると、彼女はテレビの方をじっと見ている。テレビのディスプレイの横には、僕が以前勤めていたところの写真が飾ってある。
「あのひとは、誰?」
以前、ユニオンで一緒だったフラッグファイター。ノーマルスーツを着ている彼と、よれよれの白衣の僕が、肩を組んでフラッグの前で撮った写真。彼女はそれを指差して、聞いている。
「彼は…、」
彼は、僕の大切な人だ。大切な、そして唯一のパイロットだった。
今は、もうどこにもいない。
「彼は、僕の大切な人だよ」
彼女があまりにもその写真をじっと見ているので、僕は写真立てを彼女のそばまで持ってきた。今より幾分若い僕よりも、彼女の興味は金髪の彼の方にあるようで、じっとその顔を見ている。
「ユニオンの、エースパイロットだったの?」
「そうだよ。彼は、とても優秀なパイロットだった」
彼の事を語る時に、過去形になっている言葉に気付いて、なぜか胸が痛んだ。そして、そんな風に彼の事を自慢げに話している自分にも、驚いた。
彼がいなくなってしまったのは、自分にも原因があるのに。どうしてこんな風に他人ごとのように、昔のように、ただ憧れている人の事を語るように、口にできるんだろう。
僕が心の中で反省をしているあいだ、彼女は写真の彼の顔を指先で何度もなぞっていた。横顔は、どこか悲しそうに見えた。
彼女も多分、自分の進むべき道がどこにあるのか迷っているところなのだろう。僕も、そうだ。
だから、彼女がただ疲れているだけなら僕は彼女のそばにいてあげようと思った。そうすることで、多分自分自身も救われる。そう、考えていたんだ。





>>>
ビリーの中でグラハム死んでたらまたもえる…ってちょっと思った。本当は生きてたんだ!よかった!って再会すればいいじゃない…って思う…。
PR
[64] [63] [62] [61] [60] [59] [58] [57] [56] [55] [54]
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
アクセス解析
忍者ブログ / [PR]
/ Template by Z.Zone