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最近グラビリを書いていなかったので、リハビリをします(笑)
本編以外はカバーしていないので、細かいところは妄想でしかないのですが、二期終了以降のグラハムとビリーの話を書いていこうと思います。



 *****
時々、真夜中に目を覚ますことがある。はっとして目を覚ますとそこは真っ暗な部屋の中で、ほんのりと枕元を照らしているベッドサイドのランプの光だけが目に入る。まるで、宇宙の中で見た地球のように光っている明かり。
身体は汗でべとべとで、額にも汗が浮いている。上半身だけベッドの上で起こして、額の汗をぬぐった。
「……ビリー?」
隣で寝ていたグラハムが、寝ぼけたような声で僕の名前を呼ぶ。
大丈夫だよ。
そんな意味を込めて手を握ると、グラハムはすっと瞼を下ろして深い眠りに落ちて行った。
だけど多分、きみは気付いている。僕がこうして時々夜中に起きだしている事を。過去の夢を見て、うなされている事を。
グラハムにぎゅっと握られている手をそっと離してもらって、ベッドを抜け出した。グラハムは少しだけ、子供のように離れた手を探したけれど、すぐに諦めて手を動かすのをやめた。よほど眠いらしい。
ベッドから抜け出して、キッチンに水を飲みに行った。時計は午前二時を指している。
定時で仕事を終えて、グラハムと一緒に夕飯を食べて、零時にはベッドに入る。とても健康的な生活をしているけれど、時々不安な気持ちで目が覚める。
この生活がいつか終わるんじゃないのか、と思って怯えている。
グラスの中の水が波打つ。キッチンにつけた明かりが、グラスの中で揺れている。手が震えているのだ。僕の手は、きみの手を離すとこんなにも弱くなる。
水を飲んで、ベッドに戻った。
暗い部屋のなかに、きみの顔が小さく浮かんでいる。
僕がこうして怯えている事を、きみは知っている。それはきみも同じ戦いに身を投じていたからだ。
同じ記憶を持って、同じ気持ちを持って、戦っていたことがあったからだ。
僕はきみの事が好きだけれど、それは決して傷を舐めあうような同情の気持ちではない。けれどきみは多分、僕の口から出た言葉をそんな風に解釈してしまうんだろう。
グラハムの額にかかる髪の毛を、指先でそっと退けてみた。顔に残る傷痕を手のひらで包む。
(好きだよ。……きみが、好きだよ)
口に出して言えばきっときみは勘違いをする。それは同情をしているんだ、と言うだろう。だから僕は言葉には出さずに、心の中で呟き続ける。
いつか、この想いがきみに伝わればいいのに。
心の底からの言葉が、きみに届けばいいのに。
僕がいつまでも苦しいのは、もしかしたらきみの所為かもしれない。










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11月はテニスの王子様のスペースで本を出す予定です。
薄めの本になるとは思いますが、詳細についてはまた夏以降にサイトにアップします。
しばらくこんなかんじでリハビリ的なグラビリを書く予定。あくまでも予定ですが…。
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