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再放送でもっかい最終回見たら書き直してテキストに移動します(笑)
11月からTBSチャンネル(CS)で再放送するんだぜー。
また録画してちまちま見るんだぜー。
11月からTBSチャンネル(CS)で再放送するんだぜー。
また録画してちまちま見るんだぜー。
*****
きみが出撃するほんの少し前。
組み立て終わったカスタムフラッグの最終チェックをしている時が、きみと話をした最後の瞬間だった。
システム上の最終チェックの間、僕はガレージに置いた休憩用の折りたたみ椅子に座ってグラハムのためのフラッグを見上げていた。左肩の後ろに大きく張り出しているGNドライヴ。試験飛行もなしに、このアンバランスな機体を発進させるのは若干のためらいがあったけれど、計算上墜ちるはずがない機体だ。
ただ、グラハムの事を考えると不安がよぎる。さっきから、コーヒーの入ったマグを握っている手が微かに震えていた。コーヒーの琥珀の面が静かに波打っている。
(……怖いのか)
自分自身の胸に聞く。
今まで、自分が作ったものに対してこんな不安を抱くことは一度もなかった。あの、ガンダムを前にしてもなお、だ。技術的には確かに優れているかもしれない。けれど、人の作ったものだ、追い越せないわけがない。ずっと、そう思っていた。けれど、今回は違う。自分に自信は持っていても、怖いのだ。グラハムが、この機体に搭乗するのが、怖いのだ。
じっと手元を見ていた視線を、もう一度漆黒のフラッグに注ぐ。きみは、グラハムを護ってくれるだろうか。最期の瞬間まで。
(僕の代わりに…)
次の瞬間、どさり、と隣に何か落ちたような音がした。驚いて振り返ると、そこには白いパイロットスーツに身を包んだグラハムが座っていた。音がしたのは、簡易のテーブルにメットを置いたからだ。
「間に合いそうか」
グラハムの声は妙に落ち着いている。何かを悟った修験者のような顔をして、そこに座っている。まるでこの世に未練のない表情をするので、僕はすぐにその顔から視線を逸らせてしまった。
「…大丈夫だよ。最終調整に入った」
震えている手でマグを持ったままでいると、いつコーヒーをこぼしてしまうかわからなかったので、グラハムがメットを置いた隣に、持っていたマグを置いた。
「最後までわがままに付き合ってもらって、悪いな」
悪いなんてちっとも思っていません、と言う口調できみが口にする。グラハムは、どんなことがあっても、グラハムだ。僕は…、駄目だ。何があってもゆるぎない信念なんて、とても持てそうにない。
「……僕の方こそ、きみに…悪いと思っている」
「どうして?」
「僕の作るものは、きみを殺してしまうかもしれない」
視線を、あげた。グラハムは僕の言葉を聞いても、微動だにしない。
(きみは、強い。けれど…)
心の、強く引きとめていた弱い部分が、ぼろぼろと崩れていくイメージが頭に浮かんだ。
きみは強い。けれど、弱い僕の所為で死んでしまうかもしれないんだ。
「本当は、最初からわかっていたんだ。僕の作るものは、人を傷付ける。ガンダムに襲われたとき…いや、そのもっと前から分かっていたんだ。分かっていて、それを続けていたんだ…」
死んだ仲間を、傷付いた僕を、きみは心配してくれたけれど、憤慨してくれたけれど、だけど僕は報いを受けたのだと思ったんだよ。怪我をしても、殺されても当然だと、本当は思っていたんだよ。
グラハムは僕に何も言わない。
視界が揺らいでいるのに、きっと気付かれている。目に涙が浮かぶんだ。それが、お止められない。
「だけど、きみには死んでほしくない。僕は無神論者だから、どの神様に祈ればいのかわからないけれど」
震える手のひらをぎゅっと握って、拳を膝の上に置く。顔をうつむけると、眼鏡のガラスにぽたりと涙が落ちた。視界が、どんどん歪んでいく。
これから出撃するきみを前に、涙なんて見せるものじゃない、と言うのは分かっている。わかっているけれど、どうしようもない。止めることが、できないんだ。
(かみさま…どうか、彼を守って…)
震えるこぶしの上に、きみがそっと手を乗せてくれた。グローブをはめるまえの、白くて、指の長い綺麗な手。
「カタギリ、きみは私を信じればいい」
温かい手の感触と同じような、温かい声が耳をくすぐる。
「神に祈ることはない。きみは、きみの心で祈ればいい。信じるのは、私一人で充分だ」
こんな時にまで、自信にあふれた言い方をするんだね。顔をあげると、自信満々の表情で僕を見て、笑った。
「必ず、帰ってくる」
「本当に?」
「約束する」
グラハムの腕が伸びて、僕の肩を抱きしめた。近付いた頬が瞬間だけ触れる。彼の柔らかい唇が、僕の頬を掠めていった。
あたたかい、感触。
本当に、本当に、帰ってきてくれるんだね。必ず、帰ってきてくれるんだね。
何度も何度も胸の中で繰り返して、彼の抱擁を受け止めた。
しっかりと、その存在を確かめるように。
>>>
できできにデキてないグラビリも大好物だったりするので、二期の展開によっては4年後にはじめてデキちゃったグラビリでもいいんじゃないのかな…っておもいます。
組み立て終わったカスタムフラッグの最終チェックをしている時が、きみと話をした最後の瞬間だった。
システム上の最終チェックの間、僕はガレージに置いた休憩用の折りたたみ椅子に座ってグラハムのためのフラッグを見上げていた。左肩の後ろに大きく張り出しているGNドライヴ。試験飛行もなしに、このアンバランスな機体を発進させるのは若干のためらいがあったけれど、計算上墜ちるはずがない機体だ。
ただ、グラハムの事を考えると不安がよぎる。さっきから、コーヒーの入ったマグを握っている手が微かに震えていた。コーヒーの琥珀の面が静かに波打っている。
(……怖いのか)
自分自身の胸に聞く。
今まで、自分が作ったものに対してこんな不安を抱くことは一度もなかった。あの、ガンダムを前にしてもなお、だ。技術的には確かに優れているかもしれない。けれど、人の作ったものだ、追い越せないわけがない。ずっと、そう思っていた。けれど、今回は違う。自分に自信は持っていても、怖いのだ。グラハムが、この機体に搭乗するのが、怖いのだ。
じっと手元を見ていた視線を、もう一度漆黒のフラッグに注ぐ。きみは、グラハムを護ってくれるだろうか。最期の瞬間まで。
(僕の代わりに…)
次の瞬間、どさり、と隣に何か落ちたような音がした。驚いて振り返ると、そこには白いパイロットスーツに身を包んだグラハムが座っていた。音がしたのは、簡易のテーブルにメットを置いたからだ。
「間に合いそうか」
グラハムの声は妙に落ち着いている。何かを悟った修験者のような顔をして、そこに座っている。まるでこの世に未練のない表情をするので、僕はすぐにその顔から視線を逸らせてしまった。
「…大丈夫だよ。最終調整に入った」
震えている手でマグを持ったままでいると、いつコーヒーをこぼしてしまうかわからなかったので、グラハムがメットを置いた隣に、持っていたマグを置いた。
「最後までわがままに付き合ってもらって、悪いな」
悪いなんてちっとも思っていません、と言う口調できみが口にする。グラハムは、どんなことがあっても、グラハムだ。僕は…、駄目だ。何があってもゆるぎない信念なんて、とても持てそうにない。
「……僕の方こそ、きみに…悪いと思っている」
「どうして?」
「僕の作るものは、きみを殺してしまうかもしれない」
視線を、あげた。グラハムは僕の言葉を聞いても、微動だにしない。
(きみは、強い。けれど…)
心の、強く引きとめていた弱い部分が、ぼろぼろと崩れていくイメージが頭に浮かんだ。
きみは強い。けれど、弱い僕の所為で死んでしまうかもしれないんだ。
「本当は、最初からわかっていたんだ。僕の作るものは、人を傷付ける。ガンダムに襲われたとき…いや、そのもっと前から分かっていたんだ。分かっていて、それを続けていたんだ…」
死んだ仲間を、傷付いた僕を、きみは心配してくれたけれど、憤慨してくれたけれど、だけど僕は報いを受けたのだと思ったんだよ。怪我をしても、殺されても当然だと、本当は思っていたんだよ。
グラハムは僕に何も言わない。
視界が揺らいでいるのに、きっと気付かれている。目に涙が浮かぶんだ。それが、お止められない。
「だけど、きみには死んでほしくない。僕は無神論者だから、どの神様に祈ればいのかわからないけれど」
震える手のひらをぎゅっと握って、拳を膝の上に置く。顔をうつむけると、眼鏡のガラスにぽたりと涙が落ちた。視界が、どんどん歪んでいく。
これから出撃するきみを前に、涙なんて見せるものじゃない、と言うのは分かっている。わかっているけれど、どうしようもない。止めることが、できないんだ。
(かみさま…どうか、彼を守って…)
震えるこぶしの上に、きみがそっと手を乗せてくれた。グローブをはめるまえの、白くて、指の長い綺麗な手。
「カタギリ、きみは私を信じればいい」
温かい手の感触と同じような、温かい声が耳をくすぐる。
「神に祈ることはない。きみは、きみの心で祈ればいい。信じるのは、私一人で充分だ」
こんな時にまで、自信にあふれた言い方をするんだね。顔をあげると、自信満々の表情で僕を見て、笑った。
「必ず、帰ってくる」
「本当に?」
「約束する」
グラハムの腕が伸びて、僕の肩を抱きしめた。近付いた頬が瞬間だけ触れる。彼の柔らかい唇が、僕の頬を掠めていった。
あたたかい、感触。
本当に、本当に、帰ってきてくれるんだね。必ず、帰ってきてくれるんだね。
何度も何度も胸の中で繰り返して、彼の抱擁を受け止めた。
しっかりと、その存在を確かめるように。
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できできにデキてないグラビリも大好物だったりするので、二期の展開によっては4年後にはじめてデキちゃったグラビリでもいいんじゃないのかな…っておもいます。
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