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00をもう一度見たくてたまらなくて、再放送(ケーブル)を待てないのでDVDを買ってしまいそうです…。
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たとえば、この世界に紛争がなければ僕たちは出会っていなかったんだ。
たとえば、この世界が平和な世界だったなら僕たちは出会っていなかったんだ。
悲しい目をして言うきみが、いつかどうにかなってしまうんじゃないかと思っていた。だから私はきみの手を離す事ができなかったんだよ、ビリー。
きみはどうして?といつも泣きそうな顔をして私を見ていたけれど、私にしてみればとても簡単な事だ。私より頭の良いきみがどうしてそれを理解してくれないのか、逆に疑問だった。
「ビリー、この世界がたとえどんな世界でも、私はきみの傍に居るよ」
そう、耳元で囁いてもきみはまるで本気に取ってくれなかった。嘘だ!と言って笑う事もあったし、嘘だ!と言って泣く事もあった。そうしてきみの疑問は堂々巡りを続ける。
どうして、こんな僕と一緒に居てくれるの?
あの戦いが終わってから、きみと一緒に暮らし始めた。
戦いの中で傷ついたのは、おそらくはきみの心の一番優しい部分だったんだろう。私の知らない誰かとの写真を見るきみは、どこか遠いところを見ているような気がしてならない。
そうして、私の顔を見てきみは言うんだ。
「グラハム、どうして僕と一緒に居てくれるの?」
その目が私を見ていないのは、最初からわかっている。すべてをふっ切ってきたよ、と言ったきみの笑顔はいつの間にか消えていた。
きみはおそらく記憶の中でだけで生きている人間だ。現実の時間を、受け入れられないでいる。心が宙に浮いたまま、私が手を離してしまえばおそらくどこかに行ってしまうだろう。
「ビリー、きみは私が居なくても平気か?」
いつか、きみの疑問に耐えきれなくて聞いた事がある。きみは少し困ったような顔をして、小さく首を振った。私の目を、見ないままで。
ああ、意地悪をしてしまった。
その時は素直にそう思った。きみは、自分の心がまだ定まらないでいる。
どこに落ち着けばいいのかわからないまま漂っている。このまま私と生きていく事を決めかねている、そんな空気がこちらにも伝わってくる。
それでもいい。
私は、きみの事を待つよ。いつまでも。
「グラハム、」
冬の寒い日に、きみは遠慮がちに私の部屋のドアをノックする。自分の枕を抱えて。
窓の外は風が吹いていて、窓枠をがたがた鳴らした。
そうだな。その音はまるでモビルスーツが近付いてきた時のようだ。あの圧倒的な力が迫ったその時に、風圧が揺らすあの窓の音に似ている。
「寒いんだ、」
それだけを言って、私のベッドの中に入ってくる。冷え症のきみはそう言って、時々私のベッドにもぐりこんだ。罪悪感など、持った事もないのだろう。
「ビリー」
ベッドの中に入ってきて、私に背中を向けて丸まっているきみに声をかける。気付いていないわけではないのに、きみはこちらを振り返ってはくれない。長い髪の毛に手を滑らせると、きみは一瞬緊張をしたように身体を揺らした。
好きだよ、きみが。
その一言は、まだ私も怖くて口に出す事ができない。なので、髪の毛をなでながら心の中で呟いた。
たとえば世界が平和なら、きみと僕は出会っていなかった?
きみのたとえ話は、私ときみをつないでいる、この心の中を否定する事に意味がある。
(けれど、それは違う)
この世界が平和でも、この世界が壊れる寸前だったとしても。私はきみを見つけるし、そして離さないだろう。いつかきみも気付くはずだ。私の気持ちと、そして自分の本当の気持ちに。
私はそれまで黙って傍に居ようと思う。
きみがいつか、気付いてくれる時まで。
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ダメなビリーをぐらはむが介護をする、と言うシチュエーションにもえただけです。
あれ?もえない?
おかしいなあ…。