忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

いや、いつも妄想だってわかっている…わかっているんです…(笑)



 *****
朝日の眩しさで目を覚まして、時間がわからないので慌てて眼鏡をかけて障子を開いて外に出る。縁側の向こうにある庭できみが植木に水をあげている。純和風の庭園の中に金色の髪をしたきみがいると、まるで配置を間違えたおもちゃ見たいでなんだか笑える。だけど、その光景を見て湧いてくるのは笑いだけじゃない。同時に、なんだか懐かし気もちになるんだ。
「おはよう、グラハム」
植木に水をあげているきみに声をかけると、きみはすぐに振り返ってにこりと微笑む。半袖の白いカッターシャツだって、最初は似合わないと思っていたけれど、そんなものは三日くらいで見なれてしまった。何よりも、今はこの風景にきみがとても自然に溶け込んで見える。
「カタギリ、花が咲いたんだ」
見るか、と嬉しそうな顔をして報告してくれる。微笑んでいるきみの顔に酷い傷さえなければ、もっと良かったのに。僕は心の中で呟きながら、寝巻きにしている浴衣のままで庭に下りた。
ここは叔父さんの家だけど、僕らは離れに部屋を貸してもらっているので、庭に出るのに人目を気にしなくてもいい。ひどい傷を受けて帰ってきた彼に対して、最大級に気を使った結果なのだろう。何よりも、僕は彼を人目にさらしたくはなかった。
(あんなに綺麗な顔をしていたのに…)
僕はきみの顔が大好きだったので、今でもそう思ってしまう。本人はそんな事はまるで気にしていないようで、それだけが救いだ。
グラハムの隣に並ぶと、確かに植木の中に花をつけているものがある。つぼみを見つけた時から注目していたのだろう。グラハムがこんな事くらいで喜ぶとは思わなかったけれど、それでも彼の笑顔を見れただけで僕も嬉しくなる。
「カタギリ、」
「ビリー、だよ」
呼びかけてきたグラハムに、注意をした。
「ここじゃあみんなカタギリなんだから、僕の事はビリーって呼んでもらえるかな」
この家に連れてきてから、何度目かの注意。グラハムは僕の言葉を聞いて、何度か言われたそのセリフを思い出してバツの悪そうな顔をした。
「……ビリー、そろそろ朝食にしないか」
「そうだね、グラハム」
名前を正しく読んでくれた彼に笑顔を向けて、僕は縁側の方に歩き出した。
ここは、平和な世界だ。
できれば、この生活を手放したくない。
振り返ってきみを見る。
そんな事は絶対にありえないのは分かっているけれど、きみも同じことを考えてくれているといいな、と思った。





>>>
小説をまだ読んでいないのでビリーがどれだけ残念でがっかりなのかはまだわからないのですが、一期が終わった直後くらいはこんなかんじだったらいいのに…って思ったんです…。カタギリさんちで同棲する新婚夫婦っていいじゃないですか!…グラハムは婿養子なんですよ!(笑)
PR
[180] [179] [178] [177] [176] [175] [174] [173] [172] [171] [170]
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
アクセス解析
忍者ブログ / [PR]
/ Template by Z.Zone