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まあ、そんな戦後を想像してみた。



 *****
訓練を終えたきみが、定時丁度に顔を出す。そんな光景が当たり前になってどれくらい経つだろうか。
きみの顔を見るたびに、胸のあたりがこそばゆくなるのは、たぶん自分が「いつものこと」と認識するにはまだ慣れないでいるからだろう。
「もう、終わるか」
「うん。帰るよ」
短い言葉を交わしてから、着ていた白衣を脱いで椅子の背中にかける。ちゃんとロッカーに片付けて、と言われるけれど、週末以外は大抵このままにして帰る。明日もどうせ、同じものを着るのだから一緒だ。泊まり込みをしないで定時に帰るだけでも、まだましだと思っているくらいだ。
きみは出張でいない日を除いては、いつも帰りに僕の所に来てくれる。一緒に帰ろう、と誘わなければ時間を忘れた僕はいつまでも机の前にかじりついたままでいると、きみは思っているのだ。
「そんなに一生懸命仕事をする必要なんて、ないんだけどね」
帰り道。
スーパーで買った食材を半分ずつ持って同じところを目指して帰る。僕に帰る場所を作ってくれたのはきみで、きみに帰る場所を作ったのは僕だった。誰かと一緒に帰途につくなんて今までなかったので、それがこそばゆくなる原因でもあるのだけれど。それが今は、楽しくてたまらない。
仕事をしなくてもいい、なんて不謹慎な事を言う僕にきみは怪訝な顔をして見せた。
「だって生活するだけのお金はあるもの」
「…なら、どうして」
「だってきみがさみしがるじゃない」
歩いているきみの顔を覗き込むと、きみは少しむっとした顔をした。
本当は、自分の気が済まないから毎日働いているだけだ。きみのそばに居たいから、働きたいだけだ。
だけど僕は自分の気持ちを言葉にしないで、きみの事だけをからかうようにそう言ってやる。きみは困った顔をして僕をみたけれど、それからすぐにそっぽを向いた。
「……きみは、性格が悪くなったな」
「そうかな」
思ってることを、言葉にするようになっただけだ。きみの困った顔が見たくて、それでからかうような事を言うようになっただけだ。
晴れやかな顔をしている僕を見て、きみもすぐに笑顔になった。そうだな、と小さくつぶやいた声が耳に届く。
僕の隣にはきみが居て、同じ方向に向かって歩いている。少し前までは、想像もしなかった現実がここにある。
荷物を持っていない方の手をきみに差し出すと、きみは苦笑しながらその手を取ってくれた。
きみは子供か、と困った声がしたような気がしたけれど、聞かないふりをする。
「ありがとう、グラハム」
横に立つきみに向かってそう言うと、きみは真っ直ぐ向いたまま、僕の方を見ないで喉の奥で笑いをかみ殺していた。










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チャーミーグリーン(洗剤)なグラビリ。
そんなのが似合うんじゃないですかね…!!
なんかもうあの二人はもう戦闘に参加しなくてもいいんじゃないのかな…グラハムとビリーには幸せになってほしいよ!!
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