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ビリーは素直すぎて壺とか布団とか買わされてそうですよね、って言われていた(笑)それがビリーのいいところなんじゃないのかな!
*****
そう言えば、彼は昔からそうだった。
まだユニオンの軍に所属していた時だ。彼に構ってもらおうとして、体調が悪いだの、具合が悪いだの、鬱症状が出ているだの、そんな話をわざわざ彼に言って聞かせる輩が何人もいた。
勿論彼は技術屋で、医療は専門分野ではない。大丈夫?と心配そうにそいつらの顔を覗き込んで尋ねる。大丈夫じゃないかもしれないです。そう答えると、彼はますます心配そうな顔をする。
その顔が見たいのだ。仮病だなんて疑わない彼の顔が見たいのだ。
途中から気付いた私は、そうやって彼に対して何かしらのアピールをする連中に注意をして回ったけれど、勿論個人に対しての強制力をもたない私の意見は無視された。
彼は、大丈夫だよ、と言って笑っていたけれど、むしろ彼の方を心配していたのだ。
純真で、人を疑うことを知らないきみを。
言われれば、なんでも信じてしまうきみを。
人は簡単に嘘をつく生き物だと、彼だって十二分に承知しているはずなのに。
「だって、頼られたら助けてあげたいじゃないか」
二年間も赤の他人の面倒を見ていた彼が言う。どうしてそんな事をしていたのか、と問いかけた私にそう返事をした。表情が少し強張っているのは、その人物との別れ際に体験したことが彼の中での痛手になっているからだと勝手に解釈をしている。
軍に戻ってくるまでの間、彼がどんな風に、どんな心境で日々を送っていたのかは私は知らない。知らない事が、歯がゆい。
けれど彼は私の前では何もなかったふりをする。そうだ、ふりをしているだけだ。それも分かっているけれど、多くは聞けない。彼の拒絶する空気が、私をその奥に踏み込ませない。
「人を甘やかすのは、良くない」
過去の事を思い出して黙り込んでしまった彼にそう言う、と思いがけず笑顔を返されてしまった。何も面白い事を言った覚えはないのに。
「何言ってるの。だったら今は、きみの事を甘やかしてるでしょ」
笑顔が、少し困った顔になる。
いつも彼がする、あの表情だ。
ユニオンの軍人が、彼を面白がって困らせていたのは、この表情を見たかったからだ、なんて言われていた。
「私が?」
そして彼の言葉にはトゲがあった。思い当たる節がないので聞きかえすと、彼は小さく声を出してまた笑った。
「きみがわがままを言うから、何もかも放り出してきみのために新しいモビルスーツを作っているのに。これは甘やかしているんじゃないの?」
ちがうの?
そう言って、瞳をそのまま覗きこんでくる。人に対して時折無遠慮になる彼は、育ちがいいのだと勝手にそう思っていた。今も、彼の遠慮のないまっすぐな視線がこちらを捕えた。
そして私は動けなくなる。
(きみがそんなだから、みんなきみに甘えるんだ…)
もう一度言おう。
人間は簡単に嘘もつけるし、他人を傷つけることに無関心だ。裏切ることも、捨てることも、いつだってできる。
なのにきみは、どうしてそんなに他人に優しくするんだ。
友達とは、心を分けた相手じゃない。
(……少なくとも、私にとっては…)
肯定的な言い方をすれば、きみは無邪気なのだ。
だから…
私だけを、甘やかしてほしい。
もう、誰にもその優しさを振りまく事をしないでほしい。
そう言うことが、まさに彼に甘えている事そのものだったので、さすがにそれは言葉にできなかった。
きっと私がいなくなれば、彼はほかの人間を見つけるんだろう。そうして、またその人物を甘やかすのだろう。
そう考えたとき、胸の中が熱くなる。嫉妬をしているのだと、気付いたのはいつからだろう。
けれど独占をしたいと思う気持は、彼には素直に言えなかった。優しい彼が困惑するところは見たくない。
あと少し、
もう少しだけ、ずるい人間になりたかった。
嘘をついても、彼を騙しても、平気な顔をしていらる人間になりたかった。
潔癖であろうとする私の意志が、彼に近付くための道を全て閉ざしてしまっている。
>>>
ブシドーは素直にビリーを好きって言えない葛藤の中で戦っている!と思うと、そうゆうところがとてももえるので、仮面をはずしてグラハムに戻った時にビリーと結婚すればいいんじゃないのかな、とかそんなあほな事を考えながら書きました。…。
まだユニオンの軍に所属していた時だ。彼に構ってもらおうとして、体調が悪いだの、具合が悪いだの、鬱症状が出ているだの、そんな話をわざわざ彼に言って聞かせる輩が何人もいた。
勿論彼は技術屋で、医療は専門分野ではない。大丈夫?と心配そうにそいつらの顔を覗き込んで尋ねる。大丈夫じゃないかもしれないです。そう答えると、彼はますます心配そうな顔をする。
その顔が見たいのだ。仮病だなんて疑わない彼の顔が見たいのだ。
途中から気付いた私は、そうやって彼に対して何かしらのアピールをする連中に注意をして回ったけれど、勿論個人に対しての強制力をもたない私の意見は無視された。
彼は、大丈夫だよ、と言って笑っていたけれど、むしろ彼の方を心配していたのだ。
純真で、人を疑うことを知らないきみを。
言われれば、なんでも信じてしまうきみを。
人は簡単に嘘をつく生き物だと、彼だって十二分に承知しているはずなのに。
「だって、頼られたら助けてあげたいじゃないか」
二年間も赤の他人の面倒を見ていた彼が言う。どうしてそんな事をしていたのか、と問いかけた私にそう返事をした。表情が少し強張っているのは、その人物との別れ際に体験したことが彼の中での痛手になっているからだと勝手に解釈をしている。
軍に戻ってくるまでの間、彼がどんな風に、どんな心境で日々を送っていたのかは私は知らない。知らない事が、歯がゆい。
けれど彼は私の前では何もなかったふりをする。そうだ、ふりをしているだけだ。それも分かっているけれど、多くは聞けない。彼の拒絶する空気が、私をその奥に踏み込ませない。
「人を甘やかすのは、良くない」
過去の事を思い出して黙り込んでしまった彼にそう言う、と思いがけず笑顔を返されてしまった。何も面白い事を言った覚えはないのに。
「何言ってるの。だったら今は、きみの事を甘やかしてるでしょ」
笑顔が、少し困った顔になる。
いつも彼がする、あの表情だ。
ユニオンの軍人が、彼を面白がって困らせていたのは、この表情を見たかったからだ、なんて言われていた。
「私が?」
そして彼の言葉にはトゲがあった。思い当たる節がないので聞きかえすと、彼は小さく声を出してまた笑った。
「きみがわがままを言うから、何もかも放り出してきみのために新しいモビルスーツを作っているのに。これは甘やかしているんじゃないの?」
ちがうの?
そう言って、瞳をそのまま覗きこんでくる。人に対して時折無遠慮になる彼は、育ちがいいのだと勝手にそう思っていた。今も、彼の遠慮のないまっすぐな視線がこちらを捕えた。
そして私は動けなくなる。
(きみがそんなだから、みんなきみに甘えるんだ…)
もう一度言おう。
人間は簡単に嘘もつけるし、他人を傷つけることに無関心だ。裏切ることも、捨てることも、いつだってできる。
なのにきみは、どうしてそんなに他人に優しくするんだ。
友達とは、心を分けた相手じゃない。
(……少なくとも、私にとっては…)
肯定的な言い方をすれば、きみは無邪気なのだ。
だから…
私だけを、甘やかしてほしい。
もう、誰にもその優しさを振りまく事をしないでほしい。
そう言うことが、まさに彼に甘えている事そのものだったので、さすがにそれは言葉にできなかった。
きっと私がいなくなれば、彼はほかの人間を見つけるんだろう。そうして、またその人物を甘やかすのだろう。
そう考えたとき、胸の中が熱くなる。嫉妬をしているのだと、気付いたのはいつからだろう。
けれど独占をしたいと思う気持は、彼には素直に言えなかった。優しい彼が困惑するところは見たくない。
あと少し、
もう少しだけ、ずるい人間になりたかった。
嘘をついても、彼を騙しても、平気な顔をしていらる人間になりたかった。
潔癖であろうとする私の意志が、彼に近付くための道を全て閉ざしてしまっている。
>>>
ブシドーは素直にビリーを好きって言えない葛藤の中で戦っている!と思うと、そうゆうところがとてももえるので、仮面をはずしてグラハムに戻った時にビリーと結婚すればいいんじゃないのかな、とかそんなあほな事を考えながら書きました。…。
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