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好きな人とか、心を許している人の前では子供っぽくなる男子ってかわいいって思うのです。ってそんなことばっかり考えていたらグラハムがベビーフェイスなだけじゃなくて、ただの子供になった(笑)だめだこりゃあ。



 *****
「なんだ、これは」
グラハムが僕の机の上にあったフラッグの変形模型を指さす。非難するような口調なのは、それがおもちゃにでも見たからだろう。
「なんだ、じゃないよ。僕の仕事道具」
マグカップに入れたコーヒーをグラハムの目の前に置く。そこでようやく模型から目を離してくれた。マグカップを傾けながら、僕の方を見ている視線はやっぱり非難の色がある。
「別にそれで遊んでるわけじゃないんだけど」
彼の隣に座って、眼の前から模型を奪い取る。1/100の大きさのフラッグを手の中に収めると、グラハムの視線がそれをじっと追いかけていた。
「だから、これはおもちゃじゃないって」
変形をするリアルドもフラッグも、本物を作る前に変形模型を作る。変形部位の確認をするために作るものであって、決して鑑賞用や遊ぶためのおもちゃじゃない。グラハムの視線はそうは思ってくれていないみたいだど。
「……もしかして、欲しいの?」
あんまりこっちをじっと見るので、なんだか恥ずかしくなって模型をグラハムの前に戻した。グラハムはさっとそれに手を伸ばす。おもちゃを手にした子供そのものの顔をしているきみには、何を言っても無駄だ、と言う気持ちになった。
「言っておくけど、それ持ち出し禁止だからね」
今にも懐に入れて持って帰りそうなグラハムに注意をすると、彼は振り返って「なぜだ」と聞いてくる。きみは、馬鹿なのか。そんな気持ちと一緒にため息を吐いた。
「軍の機密事項だよ。持って出られると僕が怒られるんだからね」
怒られる、どころじゃない。軍法会議ものだ。僕の呆れた顔を見てその意味がやっとわかったのか、グラハムはやっとその模型から手を離してくれた。
そのかわり、自分で持ってきたドーナツに手を伸ばしてひとつ取る。
そうそう。グラハムがこうしてお土産を持ってきてくれたからコーヒーを出したんだった。
ドーナツを食べながら、だけど彼の視線は模型に向いている。本当に、子供みたいだ。僕は思わず笑ってしまって、彼がむっとした顔でこちらを向いた。
「変形しない、もっと簡単なやつなら作ってあげるよ」
「いいのか?」
「……まあ、間接可動部にかからないものならいいと思うけどね」
その時のきみの顔。なんとも言えない嬉しそうな顔をして、僕を見ていた。きらきらした目で、まるで子供が魔法使いを見つけたみたいな。
彼のそんな顔を見て噴出さないわけがない。また笑ったら睨まれた。だってきみがそんな顔をするから、堪えることができなくなるんじゃないか。
笑いながらグラハムの持ってきたドーナツに手を伸ばすと、その手をはたかれてしまった。笑っているうちは食べるな、と目が言っている。
「ごめん、ごめん。でも、食べていいだろ?」
「笑うのをやめてからだ」
「子供みたいだよ、グラハム」
きみが拗ねれば拗ねるほど、笑いが止まらなくなるって言うのに、きみはそのむっとした顔を戻してくれない。
ああ、暫くはドーナツを食べることができない。仕方ないのでコーヒーを飲んだ。きみと話をするのがあんまり楽しくて、すっかり冷めてしまっていたけれど。





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マクロスの変形ってレゴみたいなのを組み合わせて可動部の確認をしているんですよ!って喜々として話してくれた友達を思い出して書きました。それはともかくグラハムがかわいすぎた…。一期のグラハムに何を求めているんだろう自分。
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