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料理ができるビリーってかっこいいな、ってちょっと思ったんです。

あと、ついでですがいつも拍手ぽちぽちありがとうございます。こんなサイトでも見てくれている人がいるんだなあ、と思ったらはげみになります。なんか変なもんばっかり書いていますが、これからもそんな変なもんでよければ書き続けようと思います。



 *****
久し振りの休日に、彼を自宅に招いて食事をした。
誘ったのは僕の方だけど、彼も気易く返事をくれた。僕たちは友達なのだから疑問に思うことはひとつもないんだけど、休みの日に恋人と過ごす予定はないのかい?と一応聞いてみた。彼は笑っているだけで、明確な返事はくれなかった。
(…そんな事、どちらでもいいんだけどね)
部屋のチャイムが鳴って、彼が来た事を伝えてくれる。玄関まで出ると、彼は花とケーキの入っているような小さな箱を僕に差し出してくれた。
「これは?」
「ひとの家に招かれて手ぶらで来るわけにはいかないだろう」
平然として答えるきみの顔に浮かんでいる笑顔は、とても美しい。僕をからかうためではないのだと、その表情から読み取れる。
しかし、男の部屋にくるのに花にケーキだって。僕を何だと思っているんだろうか。それとも彼は誰にでもこんな事をるのだろうか。
部屋にあげると、彼はまずキッチンの様子に驚いたような顔をした。
「驚いたな」
失礼だとも思わないのか、そのまま思った事を口に出す。
「僕が料理をするのが、そんなに意外?」
むっとした顔を作って聞くと、彼は素直に頭を縦に振った。本当に失礼なやつだ。こんなやつを招かなければよかった、と心の深いところで思ったけれど、口には出さなかった。彼はその失礼な言動の裏側に「素直」と言う美点を持っている。多くの人がそうであるように、彼の欠点はその美点によって補われている。
「研究に行き詰るとね、別の事がしたくなるんだ」
「それが、料理か」
二人掛けの小さなダイニングテーブルの上には、出来上がった料理が並んでいる。僕は彼にもらったケーキを冷蔵庫に仕舞うと、彼に椅子に座るように勧めた。
「きみは、いつでも嫁にいけるな」
からかている口調で言うので、僕は振り返って厭味のこもった視線を彼に向けた。
「料理以外は、何もできないけどね」
彼は、知っている。
僕の研究室がいつまでも片付かないのも、何日も同じ服を着ている事を。
「それに、僕が嫁に行ってどうするんだよ」
そもそも僕は男なんだから、嫁にはなれない。
くすくす笑って彼の前にグラスを出すと、その手をとられた。普段からスキンシップの激しい人なのでその事自体には驚かなかったけれど、顔を見ると目が真剣だったので、どうしたのかな、と一瞬考える。
「私がきみをもらうよ」
目だけは真剣なまま、口の端がもちあがる。笑っているのだ、と思うまでに少しの時間がかかる。
「……冗談、」
だろう?
彼の手の下にあった僕の手を、引き抜いた。手の甲が熱い。
彼はこんな人なのだ。
いつも真剣に、良く分からない事を言う。だけど僕の心臓は大きく跳ねている。あんなばかげた言葉一つで、全力疾走した後みたいにどきどきしている。
(彼の発言には、慣れているつもりだったのになあ)
不意をつかれた時は、どうしようもない。
ちらりと彼を見ると、彼はにこにこした笑顔でこちらを見ていた。その顔に悪意はない。
(騙されてしまいそうだ…)
彼の、あの無邪気な笑顔に。





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料理以外のだめなところはグラハムにフォローしてもらえばいいよ!
ってゆかー、お前らもう結婚すればいいよ!って同僚に言われるといい…。ガンダム出現前くらいののりで。
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